腎盂腎炎は、腎臓の腎盂や腎実質に細菌が感染して炎症を起こす病気です。多くの場合、膀胱炎が悪化し、細菌が尿管を逆流して腎臓に到達することで発症します。この病気は適切な治療を受けないと重症化する可能性があるため、早期発見と早期治療が非常に重要です。では、腎盂腎炎が疑われる場合、具体的にどのような症状が現れ、どの診療科を受診すればよいのでしょうか。まず、腎盂腎炎の代表的な初期症状としては、突然の高熱が挙げられます。三十八度以上の発熱が一般的で、時には四十度近くまで上がることもあります。この発熱に伴い、悪寒や戦慄、つまり体が震えるような寒気を感じることが多いです。また、感染が起きている腎臓側の腰や背中に強い痛みを感じることも特徴的です。片側だけの場合もあれば、両側に痛みが出ることもあります。これらの症状に加えて、膀胱炎を併発している場合は、頻尿、排尿時の痛み、残尿感、血尿といった排尿に関するトラブルも見られます。吐き気や嘔吐、全身の倦怠感といった消化器症状や全身症状を伴うことも少なくありません。これらの症状が一つでも当てはまる、あるいは複数組み合わさって現れた場合は、腎盂腎炎の可能性を考えて医療機関を受診する必要があります。特に高熱と腰痛が同時に見られる場合は、強く疑うべきでしょう。受診する診療科としては、まず泌尿器科が専門となります。泌尿器科は尿路感染症や腎臓の病気を専門的に扱っているため、正確な診断と適切な治療が期待できます。しかし、夜間や休日などで泌尿器科の専門医がいない場合や、かかりつけ医がいる場合は、まず内科を受診することも一つの選択肢です。内科でも初期対応や検査は可能であり、必要に応じて泌尿器科への紹介も行ってもらえます。重要なのは、自己判断で放置せず、できるだけ早く医師の診察を受けることです。早期に抗菌薬による治療を開始すれば、多くは数日から一週間程度で症状が改善に向かいます。しかし、治療が遅れたり、持病がある方や高齢者の場合は、敗血症などの重篤な合併症を引き起こすリスクもあるため、油断は禁物です。疑わしい症状があれば、ためらわずに医療機関の扉を叩きましょう。
腎盂腎炎の初期症状と受診すべき科