「日中、どうしても眠くて仕方がない…」という過眠の症状は、睡眠障害だけでなく、うつ病や双極性障害、不安障害といった精神疾患の一症状として現れることもあります。そのため、過眠症が疑われる場合に、精神科や心療内科を受診することも、原因究明と適切な治療への重要な選択肢の一つとなります。精神疾患に伴う過眠は、「非定型うつ病」などで特に見られやすいと言われています。一般的なうつ病では不眠傾向が強いのに対し、非定型うつ病では、過眠(10時間以上寝てしまうなど)や、過食、気分の変動(良いことがあると一時的に元気になるなど)、鉛様の倦怠感(手足が重く感じる)といった症状が特徴的です。また、双極性障害(躁うつ病)のうつ状態の時期にも、過眠の症状が現れることがあります。強いストレスやトラウマ体験などが引き金となって、現実逃避的に過度な睡眠をとってしまう「心因性過眠症」という状態も考えられます。精神科や心療内科では、まず詳細な問診を通じて、患者さんの精神状態や生活状況、ストレス要因などを把握します。そして、心理検査や、必要に応じて他の身体的な検査(血液検査など)も行いながら、過眠の原因が精神的なものなのか、あるいは他の睡眠障害(ナルコレプシーなど)や身体疾患によるものなのかを総合的に判断します。もし、うつ病などの精神疾患が原因であると診断された場合は、その疾患に対する治療が優先されます。治療法としては、カウンセリングや認知行動療法といった精神療法と、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠調整薬といった薬物療法が、患者さんの状態に合わせて組み合わせて行われます。精神疾患が改善するにつれて、過眠の症状も軽減していくことが期待できます。また、精神科や心療内科は、睡眠に関する専門知識を持つ医師も多く在籍しており、睡眠衛生指導や生活習慣の改善指導なども受けることができます。