肋間神経痛と内臓の病気鑑別のための受診先


肋間神経痛のような胸や背中の痛みは、時に心臓や肺、消化器といった内臓の病気が原因で起こることもあります。これらの「放散痛(ほうさんつう)」や「関連痛(かんれんつう)」と呼ばれる痛みは、内臓の異常が、同じ神経経路を介して体の表面に痛みとして感じられる現象です。そのため、肋間神経痛だと思っていた痛みが、実は内臓疾患のサインである可能性も否定できません。自己判断は危険であり、鑑別診断のためには適切な医療機関の受診が必要です。まず、心臓疾患の可能性です。狭心症や心筋梗塞では、胸の中央部や左胸に締め付けられるような痛みや圧迫感が生じることが多いですが、それが背中や肩、腕、時には肋間神経の走行に沿って放散することがあります。動悸や息切れ、冷や汗などを伴う場合は特に注意が必要です。この場合は、循環器内科を受診します。次に、呼吸器疾患です。胸膜炎や気胸、肺塞栓症、あるいは肺がんなどが、胸の痛みや背部痛を引き起こすことがあります。咳や痰、呼吸困難、発熱といった症状を伴うことが多いです。この場合は、呼吸器内科を受診します。また、消化器疾患も、肋間神経痛様の痛みの原因となることがあります。例えば、胆石症や胆嚢炎では、右の脇腹から背中にかけて痛みが出ることがあります。膵炎では、みぞおちから背中にかけて激しい痛みが起こります。逆流性食道炎でも、胸焼けとともに胸の痛みを感じることがあります。これらの場合は、消化器内科が専門となります。これらの内臓疾患による痛みは、肋間神経痛と症状が似ていることがありますが、多くの場合、それぞれの臓器に特有の随伴症状(例えば、循環器系なら動悸や息切れ、呼吸器系なら咳や呼吸困難、消化器系なら腹痛や吐き気など)が見られることが鑑別のポイントとなります。しかし、症状だけで判断するのは難しいため、肋間神経痛のような痛みが続く場合や、他に気になる症状がある場合は、まずは内科や総合診療科を受診し、医師に相談するのが良いでしょう。そこで必要な検査を行い、原因を特定し、必要であれば専門の診療科へ紹介してもらうという流れが適切です。