日中の耐え難い眠気に悩まされ、過眠症が疑われる場合、最も専門的な診断と治療を受けられるのが「睡眠専門外来」や「睡眠クリニック」といった医療機関です。これらの専門機関では、睡眠障害全般に関する深い知識と経験を持つ医師(睡眠専門医など)が、様々な角度から過眠症の原因を追求し、個々の患者さんに合わせた治療プランを提案してくれます。睡眠専門外来で行われる主な検査としては、まず**終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG:Polysomnography)**があります。これは、睡眠中の脳波、眼球運動、心電図、筋電図、呼吸状態、血液中の酸素飽和度などを、一晩かけて連続的に記録する検査です。この検査によって、睡眠の質や深さ、睡眠中の異常な呼吸(睡眠時無呼吸など)や体の動き(周期性四肢運動障害など)の有無などを詳細に評価することができます。PSG検査は、通常、医療機関に一泊して行われます。次に、ナルコレプシーや特発性過眠症といった中枢性過眠症の診断に不可欠なのが、**反復睡眠潜時検査(MSLT:Multiple Sleep Latency Test)**です。これは、PSG検査の翌日の日中に、2時間おきに4~5回、暗く静かな部屋でベッドに横になってもらい、眠りにつくまでの時間(睡眠潜時)や、レム睡眠の出現の有無などを測定する検査です。日中の眠気の客観的な評価や、ナルコレプシーに特徴的な入眠時レム睡眠期(SOREMP)の確認に役立ちます。これらの検査結果と、詳細な問診(睡眠習慣、生活習慣、既往歴、家族歴など)、そして場合によっては血液検査などを総合的に判断し、過眠症のタイプを診断します。治療法は、診断された過眠症の種類によって異なります。ナルコレプシーや特発性過眠症の場合は、中枢神経刺激薬や、情動脱力発作に対する薬剤などが用いられます。睡眠時無呼吸症候群の場合は、CPAP療法やマウスピースなどが中心となります。睡眠専門外来では、薬物療法だけでなく、睡眠衛生指導や生活習慣の改善指導、認知行動療法といった非薬物療法も組み合わせながら、総合的なアプローチで過眠症の改善を目指します。