耳たぶのしこり治療法と手術について
耳たぶにできたしこり、特に繰り返し炎症を起こしたり、徐々に大きくなったりする粉瘤(アテローム)の場合、根本的な治療法は、手術によって袋状の構造物(嚢胞壁)を完全に取り除くことです。薬物療法だけでは、一時的に炎症を抑えることはできても、袋が残っている限り再発のリスクがあるため、根治を目指すには手術が必要となります。粉瘤の手術は、多くの場合、局所麻酔下での日帰り手術として行われます。手術時間は、粉瘤の大きさや場所、炎症の有無などによって異なりますが、一般的には15分~30分程度であることが多いです。手術方法には、いくつかのバリエーションがあります。最も一般的なのは、紡錘形(ぼうすいけい)切開による摘出術です。粉瘤の直上の皮膚を紡錘形に切開し、粉瘤の袋を周囲の組織から丁寧に剥がして、袋ごと丸ごと取り出す方法です。切開した皮膚は、縫合して閉じます。この方法は、袋を確実に除去できるため再発のリスクが低いですが、ある程度の長さの傷跡が残ります。もう一つの方法として、**くり抜き法(へそ抜き法)**があります。これは、粉瘤の開口部を中心に、ディスポーザブルパンチという円筒形のメスで小さな円形の穴を開け、そこから袋の内容物を絞り出した後、袋そのものを引き抜く方法です。傷跡が小さく済むのがメリットですが、袋が完全に除去できない場合があり、紡錘形切開に比べて再発のリスクがやや高くなる可能性も指摘されています。どちらの手術方法を選択するかは、粉瘤の大きさや状態、患者さんの希望などを考慮し、医師が判断します。手術後は、数日間ガーゼで保護し、1週間程度で抜糸となることが多いです(吸収糸を使用する場合は抜糸不要なこともあります)。手術には、出血や感染、傷跡が残るといったリスクも伴います。手術を受ける際には、医師から十分な説明を受け、メリットとデメリットを理解した上で決定することが大切です。