いびきと眠気は要注意!睡眠時無呼吸症候群と過眠症
夜、大きないびきをかき、時には呼吸が止まっていると家族に指摘されたことがある方で、日中に強い眠気を感じる場合は、「睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)」が過眠の原因である可能性が非常に高いです。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道(空気の通り道)が狭くなったり、完全に塞がったりすることで、一時的に呼吸が止まる(無呼吸)、あるいは呼吸が浅くなる(低呼吸)状態を繰り返す病気です。この無呼吸・低呼吸によって、体内に十分な酸素が取り込めなくなり、脳や体が低酸素状態になります。また、呼吸が止まるたびに、脳が覚醒反応を起こし、睡眠が細切れになってしまうため、睡眠の質が著しく低下します。その結果、夜しっかり寝ているつもりでも、実際には深い睡眠がとれておらず、日中に耐え難い眠気や集中力の低下、倦怠感といった症状が現れるのです。いびきは、気道が狭くなっているサインであり、睡眠時無呼吸症候群の最も代表的な症状の一つです。特に、いびきが途中で止まり、その後、大きな呼吸とともに再びいびきが始まるような場合は、無呼吸が起きている可能性が高いと考えられます。その他、起床時の頭痛や口の渇き、夜間の頻尿、熟睡感のなさなども、睡眠時無呼吸症候群の症状として見られることがあります。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、呼吸器内科や耳鼻咽喉科、あるいは睡眠専門外来・睡眠クリニックを受診しましょう。診断のためには、自宅で簡易的な検査を行うか、医療機関に一泊して終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を受ける必要があります。治療法としては、CPAP(シーパップ)療法という、鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道の閉塞を防ぐ治療法が最も一般的で効果的です。また、マウスピースの装着や、体重の減量、生活習慣の改善、場合によっては外科手術なども検討されます。適切な治療を受けることで、睡眠の質が改善し、日中の眠気も劇的に解消されることが期待できます。