花粉症にならない人もいつかはなる?発症のメカニズム
現在は花粉症の症状が全くないという人でも、「いつか自分も花粉症になるのだろうか?」と不安に思うことがあるかもしれません。残念ながら、花粉症にならないと断言できる人はいないというのが現状です。花粉症の発症には、遺伝的素因と環境要因が複雑に関わっており、これまで症状がなかった人でも、ある年を境に突然発症するケースは珍しくありません。花粉症が発症する基本的なメカニズムは、体内に花粉(アレルゲン)が侵入し、それに対して免疫システムがIgE抗体というアレルギー反応に関わる抗体を作り出すことから始まります。このIgE抗体が、鼻や目の粘膜にあるマスト細胞という細胞に結合すると、「感作(かんさ)」という状態になります。この感作状態になった後、再び花粉が体内に侵入すると、マスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンといった化学伝達物質が放出され、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみといったアレルギー症状が引き起こされるのです。つまり、花粉症を発症するためには、まず花粉に暴露され、体内でIgE抗体が一定量以上作られる(感作される)必要があるのです。これまで花粉症でなかった人が突然発症する理由としては、以下のようなことが考えられます。* 花粉の飛散量の増加: 近年、スギやヒノキの花粉飛散量が増加傾向にあり、それに伴って、より多くの花粉に暴露される機会が増えています。これにより、これまで感作されていなかった人でも、IgE抗体が作られやすくなり、発症に至る可能性があります。 * 生活環境の変化: 大気汚染(ディーゼル排気ガスなど)や、食生活の欧米化、ストレスの増加といった生活環境の変化が、免疫バランスを崩し、アレルギー反応を起こしやすい体質に傾けている可能性が指摘されています。 * 体質や免疫状態の変化: 加齢や、他の病気、あるいは妊娠・出産といったライフイベントによって、体質や免疫状態が変化し、これまで抑えられていたアレルギー反応が現れやすくなることもあります。このように、花粉症は、誰にでも発症する可能性のある病気です。現在は症状がなくても、日頃から花粉対策を意識したり、免疫力を高める生活習慣を心がけたりすることが、将来的な発症予防につながるかもしれません。