月: 2025年5月

「最近、ストレスが多くて、なんだか手のひらが痒くて熱っぽい…」そんな風に感じている方はいませんか。実は、精神的なストレスも、手のひらのかゆみや熱感といった皮膚症状を引き起こしたり、悪化させたりする要因の一つとなり得ます。ストレスと皮膚症状は、一見すると無関係のように思えるかもしれませんが、私たちの心と体は密接につながっています。強いストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れやすくなります。自律神経は、血流や汗の分泌、免疫機能などをコントロールしているため、そのバランスが崩れると、皮膚のバリア機能が低下したり、炎症が起こりやすくなったりします。例えば、ストレスによって交感神経が過度に優位になると、血管が収縮して皮膚への血流が悪くなり、皮膚の乾燥やターンオーバーの乱れを引き起こすことがあります。また、ストレスは免疫系にも影響を与え、アレルギー反応を増強させたり、炎症性サイトカインの産生を促したりすることで、湿疹やかゆみを悪化させる可能性があります。特に、アトピー性皮膚炎や手湿疹、汗疱といった皮膚疾患は、ストレスによって症状が悪化しやすいと言われています。さらに、ストレスを感じると、無意識のうちに手を掻いたり、こすったりする行動が増えることがあります。この物理的な刺激が、かゆみや炎症をさらに悪化させるという悪循環に陥ることも少なくありません。また、ストレスによる睡眠不足や食生活の乱れも、間接的に皮膚の健康状態に影響を与えます。もし、手のひらのかゆみや熱感が、ストレスを感じる時期に特にひどくなる、あるいはストレスが軽減されると症状も和らぐといった傾向が見られる場合は、ストレスが大きく関与している可能性が高いと考えられます。皮膚科での治療と並行して、十分な休息をとる、リラックスできる時間を作る、適度な運動をするなど、ストレスを上手にコントロールするためのセルフケアに取り組むことが、症状の改善には不可欠です。