痒くて熱い手のひら汗疱・異汗性湿疹の可能性
手のひらや指の側面に、突然小さな水ぶくれ(小水疱)がたくさんでき、強いかゆみや熱感を伴う場合、「汗疱(かんぽう)」または「異汗性湿疹(いかんせいしっしん)」の可能性があります。この病気は、特に汗をかきやすい季節(春から夏)や、手汗をかきやすい人に多く見られる傾向があります。汗疱・異汗性湿疹の主な症状は、手のひら、指の側面、足の裏などに、直径1~2mm程度の小さな水疱が多発することです。これらの水疱は、透明な液体を含んでおり、強いかゆみを伴うのが特徴です。水疱が破れると、じゅくじゅくとした状態になったり、乾燥して皮がむけたりすることもあります。炎症が強い場合は、赤みや熱感を伴い、ヒリヒリとした痛みを感じることもあります。水疱は、数週間で自然に吸収されて消えていくことが多いですが、症状が改善しても再発を繰り返すことも少なくありません。汗疱・異汗性湿疹のはっきりとした原因は、まだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。まず、汗との関連です。汗の出口(汗管)が詰まったり、汗が皮膚の内部に漏れ出したりすることで炎症が起こるという説があります。また、金属アレルギー(ニッケル、コバルト、クロムなど)や、特定の薬剤、ストレス、アトピー素因なども、発症や悪化の要因として指摘されています。喫煙もリスクを高めるという報告もあります。治療は、症状の程度に応じて行われます。軽症の場合は、保湿剤によるスキンケアや、かゆみを抑えるための抗ヒスタミン薬の内服などが中心となります。炎症が強い場合は、ステロイド外用薬(塗り薬)が処方されます。水疱を自分で潰すと、細菌感染のリスクがあるため、できるだけ触らないようにしましょう。症状が長引く場合や、繰り返し発症する場合は、皮膚科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。