パニック障害と間違えやすい病気鑑別のための受診先
突然の動悸や息苦しさ、めまいといったパニック発作の症状は、他の身体的な病気の症状と非常によく似ているため、自己判断は禁物です。パニック障害と診断される前に、まずはこれらの身体疾患の可能性を除外することが非常に重要となります。そのため、症状によっては、精神科や心療内科を受診する前に、あるいはそれらの科と連携して、他の診療科の診察が必要となる場合があります。まず、心臓疾患との鑑別が重要です。不整脈(心房細動、発作性上室性頻拍など)、狭心症、心筋梗塞といった心臓の病気は、動悸、胸の痛みや圧迫感、息切れといった、パニック発作と似た症状を引き起こすことがあります。これらの疾患が疑われる場合は、循環器内科を受診し、心電図検査や心エコー検査、場合によってはホルター心電図(24時間心電図)や運動負荷試験などを行い、心臓に異常がないかを確認します。次に、呼吸器疾患です。気管支喘息の発作や、過換気症候群、肺塞栓症(エコノミークラス症候群)なども、息苦しさや呼吸困難、胸の苦しさといった症状を伴います。これらの場合は、呼吸器内科で、胸部X線検査や呼吸機能検査などを行います。また、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)も、動悸、発汗、手の震え、不安感、体重減少といった症状が現れ、パニック発作と間違われることがあります。この場合は、内分泌内科または内科で、血液検査による甲状腺ホルモンの測定が必要です。低血糖症も、冷や汗、動悸、手の震え、めまい、意識が遠のく感じといった症状を引き起こし、パニック発作と似ていることがあります。糖尿病の治療中の方や、食事を抜いたり、極端なダイエットをしたりしている方は注意が必要です。この場合は、内科で血糖値の検査などを行います。さらに、メニエール病などの内耳の疾患も、突然のめまいや吐き気を引き起こすため、パニック発作と区別がつきにくいことがあります。耳鳴りや難聴を伴う場合は、耳鼻咽喉科の受診が必要です。これらの身体疾患の可能性を否定した上で、初めてパニック障害の診断が考慮されます。不安な症状がある場合は、まずはかかりつけ医に相談し、適切な検査と診断を受けるようにしましょう。