子供が保育園でものもらいになってしまった、あるいは、クラスで他の子でものもらいの子がいると聞くと、「うちの子にもうつるのでは?」と心配になるかもしれません。一般的な「ものもらい」(麦粒腫や霰粒腫)は、前述の通り、空気感染や飛沫感染で広がるような感染力の強い病気ではありません。しかし、全く感染の可能性がないわけではありません。特に、麦粒腫の原因となる細菌(主に黄色ブドウ球菌など)は、健康な人の皮膚や鼻の中にも存在している常在菌ですが、これが何らかの形で他の子の目に入り、そこで増殖すると、ものもらいを発症する可能性があります。保育園のような集団生活の場では、子供同士の距離が近く、おもちゃやタオルなどを共有する機会も多いため、間接的な接触による感染のリスクは、家庭内よりも高まると言えるでしょう。例えば、ものもらいになっている子が、目をこすった手で共有のおもちゃを触り、そのおもちゃを別の M が触った手で自分の目をこすってしまう、といったケースです。霰粒腫の場合は、細菌感染を伴わない炎症(肉芽腫)なので、基本的には他の人にうつることはありません。ただし、霰粒腫に細菌が感染して炎症を起こした「急性霰粒腫」の場合は、麦粒腫と同様に感染のリスクが生じます。保育園での感染を防ぐための対策としては、まず手洗いの徹底が最も重要です。子供たちにも、外から帰った時、食事の前、トイレの後など、こまめに石鹸と流水で手を洗う習慣を身につけさせることが大切です。保育士さんも、おむつ交換の後や、子供たちの世話をする際には、こまめに手洗いを行うことが求められます。また、タオルの共用を避けることも重要です。顔や手を拭くタオルは、個人ごとに用意し、他の子と共用しないようにします。おもちゃの定期的な清掃・消毒も、感染予防に役立ちます。特に、口に入れたり、手で頻繁に触ったりするおもちゃは、こまめに洗浄・消毒することが望ましいです。そして、ものもらいの症状がある子供がいる場合は、その子ができるだけ目をこすらないように声かけをしたり、必要に応じて眼帯を使用したり(ただし、視力の発達に影響する可能性もあるため医師と相談)、目やにが多い場合はこまめに拭き取ってあげたりといった配慮も大切です。
保育園でのものもらい感染する?その可能性と対策