耳たぶにできたしこり(多くは粉瘤)が、何らかのきっかけで炎症を起こすと、それまでとは異なるつらい症状が現れることがあります。これを「炎症性粉瘤」と呼び、適切な対処が必要です。炎症時の主な症状としては、まず赤みと腫れです。しこりのある部分の皮膚が赤く盛り上がり、触ると熱を持っている(熱感)ことがあります。次に、痛みです。最初は軽い圧痛(押すと痛い)程度でも、炎症が進行すると、ズキズキとした強い痛みや、何もしなくても痛む自発痛が現れることがあります。耳たぶは神経が比較的多く通っているため、痛みを強く感じやすい部位でもあります。さらに炎症が進むと、しこりの中に膿が溜まり、皮膚の表面が薄くなって白っぽく透けて見えたり、あるいは自然に破れて膿が出てきたりすることもあります。膿が出てくると、一時的に痛みや腫れが和らぐこともありますが、根本的な解決にはなりません。炎症時の対処法としては、まず患部を清潔に保つことが大切です。しかし、自分で無理に潰したり、内容物を押し出したりするのは絶対に避けてください。 細菌がさらに侵入し、炎症が悪化したり、周囲の組織に感染が広がったりする可能性があります。また、傷跡が残りやすくなる原因にもなります。痛みが強い場合は、冷やすことで一時的に症状が和らぐことがあります。清潔なガーゼやタオルで保冷剤を包み、患部に優しく当ててみましょう。そして、最も重要なのは、速やかに皮膚科を受診することです。医師は、炎症の程度に応じて、抗生物質の内服薬や外用薬を処方したり、膿が溜まっている場合には、針を刺したり小さく切開したりして膿を排出する処置(排膿処置)を行ったりします。これらの治療によって、炎症は徐々に治まっていきます。ただし、炎症が治まっても、粉瘤の袋状の構造物は残っているため、再発を防ぐためには、後日、炎症が完全に引いた状態で袋ごと摘出する手術が必要になる場合があります。
耳たぶのしこり炎症時の症状と対処法