「最近、なんだか胃がスッキリしない」「食後に胃が重く、もたれる感じが続く」…そんな胃もたれの症状、実は「寝不足」が原因の一つかもしれません。睡眠と胃腸の健康は、一見すると関係なさそうに思えるかもしれませんが、実は密接に連携しており、睡眠不足は胃の不調を引き起こす大きな要因となり得るのです。私たちの体は、睡眠中に様々なメンテナンス活動を行っています。胃腸も例外ではなく、睡眠中に日中の活動で疲れた粘膜を修復したり、消化液の分泌を調整したりしています。しかし、寝不足になると、このメンテナンス時間が十分に確保されず、胃腸の機能が低下しやすくなります。また、睡眠不足は自律神経のバランスを乱します。自律神経は、胃酸の分泌や胃の蠕動(ぜんどう)運動といった消化機能をコントロールしているため、そのバランスが崩れると、胃の働きがうまくいかなくなります。例えば、交感神経が過度に優位になると、胃の血管が収縮して血流が悪くなり、胃粘膜の防御機能が低下したり、胃の動きが鈍くなったりします。その結果、食べ物が胃に長く留まり、消化不良による胃もたれや不快感が生じやすくなるのです。さらに、睡眠不足はホルモンバランスにも影響を与えます。食欲をコントロールするホルモン(グレリンやレプチンなど)のバランスが崩れ、過食や脂っこいものを好む傾向が強まることがあります。これが、胃に負担をかけ、胃もたれを助長する可能性も指摘されています。このように、寝不足は、自律神経の乱れ、ホルモンバランスの崩れ、そして胃腸の修復機能の低下といった複数の経路を通じて、胃もたれをはじめとする胃の不調を引き起こす原因となるのです。もし、原因不明の胃もたれが続くようであれば、まずはご自身の睡眠時間や睡眠の質を見直してみることが大切かもしれません。