腎盂腎炎という病名は耳にしたことがあっても、具体的にどのような病気で、どの診療科が専門的に扱っているのか、詳しくご存じない方もいらっしゃるかもしれません。腎盂腎炎は、尿路を通って細菌が腎臓に侵入し、腎盂や腎実質に炎症を引き起こす感染症です。この病気は迅速かつ適切な治療が必要であり、そのためには専門的な知識を持つ医師の診断が不可欠です。では、腎盂腎炎の診断と治療を専門とするのは何科なのでしょうか。その答えは、泌尿器科です。泌尿器科は、尿を生成し排泄する経路である腎臓、尿管、膀胱、尿道、そして男性の生殖器に関連する疾患を専門的に診療する科です。腎盂腎炎は、まさにこの尿路系に発生する代表的な感染症の一つであり、泌尿器科医が最も得意とする分野の一つと言えます。泌尿器科を受診すると、まず問診が行われ、症状(発熱、腰痛、排尿痛、頻尿など)や既往歴について詳しく聞かれます。その後、尿検査が行われ、尿中の白血球や細菌の有無、血液の混入などを調べます。これにより、尿路感染の存在を確認します。さらに、血液検査によって炎症の程度(白血球数やCRP値の上昇)や腎機能の状態を評価します。これらの検査結果と症状を総合的に判断し、腎盂腎炎の診断が下されます。場合によっては、腎臓の腫れや膿瘍の有無、尿路結石の合併などを確認するために、超音波検査やCT検査といった画像検査が行われることもあります。治療の基本は、原因となっている細菌に対する抗菌薬の投与です。軽症から中等症であれば、経口の抗菌薬を数日から二週間程度服用することで治療可能です。しかし、高熱が続く、食事が摂れない、脱水症状がある、重症化のリスクが高い(高齢者、糖尿病などの基礎疾患がある方)といった場合には、入院して抗菌薬の点滴治療が行われます。泌尿器科では、これらの診断から治療、そして再発予防の指導までを一貫して行っています。もし、腎盂腎炎を疑うような症状、例えば急な高熱と腰痛、排尿時の不快感などがあれば、まずは泌尿器科の受診を検討することが最も適切な対応と言えるでしょう。早期に専門医の診察を受けることで、よりスムーズな回復が期待できます。
腎盂腎炎の診断と治療の専門科とは