あれは数年前の冬のことでした。最初はただの風邪かな、と思っていたのです。少し体がだるいな、程度の感覚で、市販の風邪薬を飲んで様子を見ていました。しかし、その日の夜から急激に体調が悪化したのです。まず感じたのは、経験したことのないような悪寒でした。布団を何枚重ねても体の震えが止まらず、歯の根が合わないほどでした。そして、熱を測ってみると三十九度五分。これはただ事ではないと直感しました。さらに追い打ちをかけるように、右側の腰から背中にかけて、ズキズキとした鈍いけれど耐え難い痛みが襲ってきたのです。以前、軽い膀胱炎になったことがあったので、もしかしたらそれが悪化したのかとも思いましたが、これほどの高熱と腰痛は初めての経験でした。翌朝、少し熱は下がったものの、依然として三十八度台をうろうろしており、腰の痛みも続いていました。トイレに行くと、排尿時にツンとした痛みを感じ、尿の色も少し濁っているように見えました。これは本格的におかしいと思い、病院へ行くことを決意しました。問題は、何科を受診すれば良いのかということです。内科か、それとも婦人科か。インターネットで症状を検索してみると、「腎盂腎炎」という病名がヒットし、泌尿器科の受診を勧める記述が多く見られました。近所に泌尿器科のクリニックがあったことを思い出し、わらにもすがる思いで電話をして症状を伝えると、すぐに来てくださいと言われました。クリニックでは、まず検尿と血液検査が行われ、問診で詳しく症状を伝えました。医師は私の話を聞き、検査結果を見るなり「典型的な腎盂腎炎ですね」と診断を下しました。幸い、症状がまだ初期だったことと、若かったこともあり、入院はせずに通院で抗生物質の点滴と内服薬による治療を行うことになりました。数日間の点滴と薬の服用で、あれほどつらかった高熱と腰痛は嘘のように引いていきました。あの時、自己判断せずに泌尿器科を受診して本当に良かったと心から思います。もし受診が遅れていたら、もっと重症化していたかもしれません。腎盂腎炎は女性に多いと聞きますが、男性も油断は禁物です。高熱と腰痛、排尿トラブルがあったら、迷わず泌尿器科の受診を検討してみてください。私の体験が少しでも参考になれば幸いです。
私の腎盂腎炎体験と受診した診療科