アデノウイルスという言葉を聞くと、夏に流行するプール熱を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実際には年間を通じて流行の波があり、妊婦にとっては常に警戒が必要な相手です。特に妊娠中は重症化しやすく、特効薬がないという現実があるため、何よりも予防が最大の防御となります。日常生活の中で実践できる知恵として、まず第一に挙げられるのは、手洗いの質を上げることです。アデノウイルスは、脂質の膜を持たないノンエンベロープウイルスであるため、一般的なアルコール消毒液だけでは十分に無力化できないことがあります。そのため、物理的にウイルスを洗い流す石鹸による手洗いが極めて重要です。外出先から戻ったときだけでなく、調理の前や食事の前、さらには家族の看病をしている間などは、爪の間や手首まで最低30秒以上かけて丁寧に洗う習慣をつけましょう。第二に、粘膜を保護することです。アデノウイルスは目、鼻、口の粘膜から侵入します。無意識のうちに自分の顔を触る癖がある人は注意が必要です。外出中はマスクを着用することで、直接的に飛沫を吸い込むのを防ぐだけでなく、汚れた手で口や鼻を触ってしまうのを物理的にブロックする効果もあります。また、目が痒いと感じても決して手で擦らず、清潔なティッシュなどを使用するようにしてください。第三に、家庭内の共用部分の管理です。家族が感染している場合、タオルや食器の共有は厳禁です。特に洗面所のタオルはウイルスが定着しやすいため、妊娠期間中だけでもペーパータオルに切り替えることをお勧めします。また、ドアノブや照明のスイッチなど、家族が頻繁に触れる場所は、次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒液で拭き掃除をすることが有効です。第四に、自身の免疫力を高く保つ生活リズムの構築です。どれだけ予防策を講じても、ウイルスをゼロにすることは不可能です。最終的にウイルスを退治するのは自分自身の免疫力です。十分な睡眠時間を確保し、タンパク質やビタミンが豊富な食事を摂ることで、万が一ウイルスが侵入しても発症を抑えたり、軽症で済ませたりすることができます。ストレスも免疫を低下させる要因になるため、リラックスできる時間を持つことも忘れないでください。もし、上の子供がいて感染リスクが高い環境にあるならば、夫や周囲のサポートを遠慮なく頼み、妊婦自身が看病の第一線に立たなくて済むような体制を事前に話し合っておくことも大切な準備です。これらの知恵を一つずつ実践していくことが、自分と大切な赤ちゃんの命を守ることに繋がります。
妊婦がアデノウイルスから身を守るための日常生活の知恵