社会人が手足口病に感染した際、最大の懸念事項は職場復帰のタイミングと、周囲の同僚へうつす期間をいかにして最小限に抑えるかという点です。大人の場合、子供のように保育園の登園停止基準が明確に定められていないため、個人の判断に委ねられる部分が多くなります。まず心得ておくべきは、解熱後であってもウイルスは確実に体内に残っているという事実です。発症から一週間程度は唾液の中に高濃度のウイルスが含まれているため、会議での発言や長時間の会話、さらには給湯室での共有物の使用は極めて高いリスクを伴います。特に大人は無意識に顔を触ったり、目をこすったりする癖があるため、手についたウイルスがデスク周りに付着し、それを介して同僚に感染を広げてしまう事例が後を絶ちません。職場復帰の目安としては、発熱や喉の痛みが完全に消失し、全身の倦怠感が取れてからにするのが一般的ですが、復帰後も二週間はマスクを着用し、小まめな手指消毒を欠かさないことが不可欠です。さらに、トイレという共有スペースこそが、大人がうつす期間を長期化させる最大のポイントです。ウイルスは便中に一ヶ月以上排出され続けるため、トイレ使用後の手洗いを疎かにすることは、職場内にウイルスをばら撒く行為に等しいと自覚すべきです。また、ランチタイムなどでマスクを外して会話を楽しむことも、この期間は避けるべき賢明な判断です。大人の手足口病は感染経路が多岐にわたり、しかも本人が無症状のままウイルスを排出しているケースも少なくありません。自分が罹患したと分かった以上は、目に見える症状だけに惑わされず、ウイルスが完全に体外から消えるまでの長い期間、徹底的な衛生管理を継続するプロフェッショナルとしての自律が求められます。