私は長年、自分のいびきが周囲にどれほどの迷惑をかけているか、全く自覚していませんでした。しかし、ある時の家族旅行で、同室で寝ていた妻から「夜中に何度も呼吸が止まっていて、死んでしまうのではないかと怖くなった」と真剣な表情で訴えられたことがきっかけで、ようやく自分の体の中で起きている異変に向き合う決心をしました。ネットで調べてみると、睡眠時無呼吸症候群という言葉が真っ先に現れましたが、次に悩んだのは、一体どこの病院へ行けば良いのかという点でした。耳鼻科なのか、内科なのか、それとももっと特殊な場所なのか。迷った末に私が選んだのは、自宅近くにある呼吸器内科を標榜しているクリニックでした。呼吸に関することなら内科が一番守備範囲が広そうだという、単純な直感からでした。診察室に入り、恐る恐る妻からの指摘を伝えると、医師は非常に丁寧に話を聞いてくれました。問診では、日中の眠気の強さや、起床時の頭痛の有無、夜中に何度も目が覚めることがないかといった、自分では気に留めていなかった症状について詳しく尋ねられました。実は、私は仕事中に会議で座っているだけで意識が遠のくほどの眠気に襲われることがありましたが、それは単なる寝不足や疲れのせいだと思い込んでいました。医師は、それは睡眠の質が著しく低下している典型的なサインだと言い、まずは自宅でできる簡易検査を勧められました。数日後、自宅に届いた検査装置は意外にも小さく、指先と腹部にセンサーをつけるだけで準備は完了しました。いつものように寝て、翌朝装置を返却するだけという手軽さに、これならもっと早く受診すれば良かったと感じたのを覚えています。1週間後の検査結果では、1時間あたりに呼吸が止まる回数を示すAHIという数値が、治療が必要なレベルまで達していることが判明しました。医師からは、睡眠中に酸素が足りなくなっているため、脳や心臓が常に全力疾走しているような状態だと説明を受け、背筋が凍る思いがしました。そこから紹介された専門施設での1泊2日の精密検査を経て、私はCPAPという治療器を導入することになりました。治療を始めて最初の朝、これまでに経験したことがないほど頭がスッキリとしており、世界が明るく見えた感覚は一生忘れられません。もしあの時、妻の言葉を笑い飛ばして病院へ行くのを渋っていたら、私は今でも重い倦怠感の中で生活し、いつ倒れるかわからないリスクを抱え続けていたでしょう。何科に行くべきか迷っている時間がもったいなかったと、今では強く感じています。