40代の会社員であるAさんは、数年前から仕事中にデスクに座っているだけで、まるでスイッチが切れたかのように深い眠りに落ちてしまう症状に悩んでいました。重要な会議の最中ですら耐えがたい眠気に襲われ、自分の意志の弱さを責める日々が続いていました。同僚からは「最近疲れているのではないか」と心配されましたが、本人は毎晩7時間は布団に入っており、睡眠時間は十分なはずだという自負がありました。しかし、ある朝、鏡に映る自分の顔がどす黒く、どれだけ寝ても疲れが取れていないことに気づいたAさんは、ようやく「これは普通ではない」と感じ、インターネットで検索を始めました。ヒットしたのは睡眠時無呼吸症候群という言葉でしたが、そこからAさんは病院選びに迷いました。近所の内科に行くべきか、それとも大きな病院の耳鼻科か。最終的にAさんが選んだのは、ターミナル駅の近くにある「睡眠専門外来」を掲げるクリニックでした。仕事帰りにも寄りやすく、何より睡眠に特化しているという安心感があったからです。初診の日、Aさんは臨床心理士による詳細な問診票の記入と、医師による問診を受けました。医師からは、首が太く顎がやや後ろに下がっている骨格的な特徴を指摘され、無呼吸の可能性が極めて高いと告げられました。その日のうちに簡易検査キットを持ち帰り、自宅で一晩計測した結果、Aさんの呼吸は1晩のうちに合計200回以上も止まっており、最長で1分間も無呼吸が続いていたことが判明しました。これでは脳が休まるはずもありません。Aさんはその後、クリニックから提携する総合病院を紹介され、精密検査であるPSG(ポリソムノグラフィー)を受けました。検査の結果、重症の睡眠時無呼吸症候群と診断され、すぐにCPAP治療を開始することになりました。治療器を使って寝始めた初日、Aさんは数年ぶりに「朝まで一度も目が覚めずにぐっすり眠れた」という快感を味わいました。日中の猛烈な眠気は魔法のように消え去り、集中力が劇的に向上したことで、仕事の効率も以前の2倍以上に上がったと言います。Aさんのケースが教えてくれるのは、診療科選びに迷ったときは「専門性」を重視することが、最短距離で解決に繋がるということです。もしAさんが単なる内科で「疲れですね」と片付けられていたら、今でも眠気と戦いながら生産性の低い日々を送っていたかもしれません。自分の症状を専門的に扱ってくれる場所を選ぶことが、人生を再起動させるきっかけになったのです。
仕事中の猛烈な眠気を解消するために睡眠専門外来を訪れた事例